医学部教授の「座右の書」: 看護学科

生きていく上で必要な”力”だとつくづく感じています。

とにかく女子学生にぜひ読んでいただきたい。「へぇー」と思える内容です。

本棚に一番古くからある本を探したら、小学生の頃に手にした「スプーンおばさんの冒険」だった。突然何の前触れもなく普通のおばさんがティースプーンほどに小さくなったり、もとに戻ったりしながら、次々に冒険するという話である。これまでに数回転居したにもかかわらず、今日までずっと私の本棚にあるまさに座右の書。あっけらかんと危機を切り抜けていくスプーンおばさんの話、みなさんもいかがですか。

これは決して宗教書ではなく、科学的研究成果に基づいた書です。
この書は、私が大病を患い、自己の生き方について悩んでいた時に出会った一冊です。それまで生まれ変わりの存在や自己の存在の意味などについて気に留めてもいませんでした。ちょうど出版されたばかりの本書を友人に勧められ、何かに導かれるように読みました。死後の生命や生まれ変わりの知識を持つことが、私に生きることの意味や生きがいを与えてくれました。いつもこの書を手に取っているわけではありませんが、生き方に悩むことがある時、あの当時のことを必ず思い出します。

座右の書とは言えないかもしれませんが、学生時代から、道に迷った時・困った時・悩んだ時・チャレンジしたい時、いろんな時に手元に置いて、参考に何回も読み返しました。気に入った箇所は手帳に記載して、自分自身を勇気づけ、ピンチをチャンスに変えていった本です。また、カーネギーが集めた『名言集』には「ひとつの言葉が人生を決めることがある。いまのあなたに必要な言葉がここにあるはずです」と書かれてあります。私にとって、まさにそんな親しみのもてる本でした。青年期にある学生の皆さんにもお薦めしたい本としてご紹介します。

　99歳で詩人としてデビューした柴田さんです。処女作の「くじけないで」は、時の流れに身を任せているようでありながら機知に富んでいて、時には「そのままでいいんだよ」とすべてを包んでくれるような暖かさがあります。
　１００歳を記念して出版された「百歳」には、東日本大震災の被災者の方々に綴った詩には、「皆様の心の中には今も余震がきて傷跡がさらに深くなっていると思います。その傷跡に薬を塗ってあげたい」「お願いです　あなたの心だけは流されないで」という一節があります。辛いことがあって心が病んだ時、人生の岐路に立った時、ページをめくってみるのもいいでしょう。そっと、寄り添ってくれるかもしれません。

辻氏は、学生時代に書き手としてデビューされているが、その後小説を書くことを阻まれていた。けれどもパルテノン神殿に身を置いたあるときに突然何かが開き、書くことを再開されている。『春の戴冠』のように物語が溢れ出ても、物語と物語を縦糸と横糸のように織りなす小説を生み出しても、「思索の方向が正しければ、創造はより豊穣に、強靱になるはず」と書くことの意味を、『小説への序章』のように探り続けた。
この『感情論の試み』もそのひとつである。文学がいかにして可能かという理論構築の試みではあるが、辻流の生きることの意味、当事者であることの意味を突きつけられる。看護をすることの意味ともつながる。
　この作品に出合ったのは『思想』における10回の連想であり、一部はコーピーでしか手元になかった。単行本として世に出され、やっと私の辻邦生文庫の１冊になった。そして今でも手にする１冊となっている。
　でも長い間、没後発刊された作品以外のコレクションをゆっくり手にする暮らしをしていない…