一次研究と二次研究 / 6Sピラミッド / 臨床意思決定支援ツール / 診療ガイドライン / システマティック・レビュー / 論文データベースの絞り込み機能 / 抄録誌・ジャーナルクラブ
このページではまず、一次研究と二次研究の違い、情報源への6Sアプローチ(ピラミッド) を踏まえた上で各段階ごとの文献検索ツールを紹介します。
臨床上の疑問・問題解決について調べる場合、人間を対象にした研究・臨床試験を探します(動物実験等は除外)。また、研究には一次研究と二次研究があります。情報収集を行う前に違いを理解しておきましょう。
『Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0』重要用語集 p.387 (PDF) より一次研究
患者や健康者などを対象に実施した研究。ランダム化比較試験,コホート研究, 症例対照研究, 横断研究などが含まれる。二次研究
すでに発表されている論文データを対象に実施する研究。システマティックレビューやメタアナリシスが含まれる。
※一次研究や二次研究を論文にしたものを「一次情報と二次情報」「一次資料と二次資料」という言うこともあります。いずれにせよ、一次が論文や学会報告、二次は一次を整理・評価したり統合した論文や教科書、ガイドライン等を指します。
研究や論文という情報源に対しては6Sピラミッドという概念図が使われることがあります。一番下に個々の論文があり、それらを要約・統合してエビデンスレベルの高いシステマティック・レビューを積み上げ、それらを採録した診療ガイドラインや教科書、臨床意思決定支援ツールなどが頂点近くに位置する、というものになっています (このピラミッドは臨床上の研究 (論文) を扱うものなので試験管レベルの研究や動物実験は含みません)。
情報を利用する際はピラミッドの上部の情報源を利用できるツールを使うと効率よく質の良いエビデンスを得ることができます。
診療ガイドラインや教科書は質の高い情報源ですが情報の更新に時間がかかります。一方、臨床意思決定支援ツールは情報の更新が早く、毎日~数日おきの情報更新が明記されているものもあります。
信頼性の高い情報を頻繁に更新しているため、すべて有料です。
※2023年4月から附属病院で「今日の臨床サポート」が使えるようになりました。
他のツールも、本文までは見れなくても無料で検索し一部閲覧できるものがあります。
個人で契約するには高額ですが、研究室や実習先で契約している場合もありますので機会があれば積極的に使ってみてください。また、時期によっては負担の少ない方法で利用できる場合があります(トライアル、学会の特典など)。
診療ガイドラインは医療利用者と医療提供者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書です。
EBMの実践にあたり医師は個々の患者の状況や希望を考慮して治療を選択します。エビデンスによって治療が画一的なものになるということはなく、むしろ医師の経験や知見がこれまで以上に重要となります。
また、診療ガイドラインで示された内容も一般の原著論文と同様に批判的吟味を行う必要があり、定期的に改訂されています。
学術文献を系統的に検索・収集し、類似した研究を一定の基準で選択・評価した上で、明確で科学的な手法を用いてまとめる研究、またはその成果物のこと。系統的レビューと訳されていることもある。
※統計学的な手法を用いて効果指標を定量的に統合するメタアナリシスを含む場合もあるが、メタアナリシスの実施を含まないものを示す場合もある。
PubMedには、臨床医の「短時間で信頼性の高い論文に絞って検索したい」という要望に応える「Clinical Queries」や「Systematic Review」といった機能があります。
医中誌Webでは検索結果を「症例報告・事例」「論文種類」「研究デザイン」で絞り込むことができます。
抄録誌は質の高い研究 (論文) を取り上げて概要をまとめた学術誌で、EBMのSTEP3「批判的吟味」を身につけるのに役立つ資料です。
ジャーナルクラブには1つの論文を取り上げてグループで検討する抄読会(輪講)の意味もありますが、抄録誌名に付けられていることがあります。有名な抄録誌にはEBMの提唱者Guyattが編集者だった『ACP Journal Club』などがあります。
※1人で「批判的吟味」を身につけるのは難しいため、学生や研修医は日々、指導医に相談する・抄録誌を読む・ワークショップに参加する等で研鑽を積んでいるようです。ネットで「ジャーナルクラブ」と検索すると、たくさんの大学や病院の活動が出てきます。
以下は宮大OPACの所蔵状況です。
☆ステップ1のPICOとはClinical Questionの構成要素で次の4つの頭語です。
★このページではEBMのステップ2で使用するデータベース、ツール類について説明します。
近年、多くの研究計画・論文出版のためのガイドラインが整備されています。これらは研究論文の質向上に貢献する目的で策定されたものですが、一方で学術ジャーナルの投稿規定に組み入れられていることも少なくありません。知らなければ論文執筆(投稿)できない、研究計画が立てられないレベルのスタンダードでもあるガイドラインについていくつか紹介します。
※PubMedではCorporate Author「Evidence-Based Medicine Working Group」で収録されていて著者名で検索してもヒットしなかった。
Gordon Guyatt ‥EBM提唱
David Sackett‥EBM推進
19世紀から20世紀の初頭にかけて創刊された長い歴史を持つ医学雑誌に限定した場合のTOP5。インパクトファクター順とした場合、オープンアクセス誌の「PLOS Medicine」なども入ってきます。
対象:医学科生等(クリニカルクラークシップ I ~)
公開:2022年11月15日 ※最終更新日はページ末尾に表示
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作成:宮崎大学附属図書館職員